ぶらんこ乗り

「ぶらんこ乗り」いしいしんじ

理論社


ぶらんこが上手で、頭のいい男の子。声を失い、それと引き換えに動物の心が理解できるようになります。「おはなし」をつくるのが上手な弟。祖母から見せられた古いノートを読む姉が、子どもの頃のことを回想します。


「あっちがわへこっちがわへとゆれている ぶらんこみたいなものなんだ」

こちらがわではない世界。それを感じられることは心細いことでもあると思います。両方の世界を行ききすることで、見えてくることもあるはずですが、あちら側の世界から戻ってこられなくなるのは怖いです。こちら側の世界にいて、自分をひきもどしてくれる存在が必要だと思いました。


「ひとはいつか死ぬんだ。そのいつかが実際いつなのかなんて、当人にだって知れない。まわりはみんな驚かされる。お前たちだけが特別じゃないよ。親しいひとはいつだって突然死ぬものなんだ」

この本を読んで、生と死は背中合わせだということを考える機会になりました。その時が来るまで生きていくのだなぁ、生きなければいけないなと思いました。