疲労ちゃん

疲労ちゃんとストレスさん」

にしかわたく(漫画・原作)近藤一博(監修・原作) 河出書房新社


日本人はものすごく疲れているそうです。日本では、自己主張を抑えて勤勉に働くことが美徳とされています。だから休むことを軽視して疲れを溜めてしまいます。疲労は、日本の国民病です。

なんとかそういうのをなくしたいなと思います。もっと休息をとりつつ、効率的に働くことをよしとする社会が当たり前になって欲しいです。


この本を読んで、疲労が客観的な方法で測れることを知りました。体の中のヘルペスウイルスで測るということです。やってみたいなと思います。


疲労の原因物質は、「リン酸化eIF2α

」です。疲労には、疲労感と体の疲れがあります。疲労感は、炎症性サイトカインという物質が脳に作用することで発生します。要するに風邪をひいてしんどいというのは、「あなたは休みなさい」という体からのメッセージが脳にいくということです。そして体の疲れは、リン酸化eIF2αが増えて起こります。体内でリン酸化eIF2αが増えると、タンパク質の生産量が減ります。タンパク質が供給されないと臓器の働きが低下したり機能障害がおきます。この状態が体の疲れです。


面白いなと思ったのは、科学的にみるとストレスと疲労感は全く逆の働きをしていることです。ストレスがあったら疲れるものだと思ってました。脳がストレスを感じると「コルチゾール」と「アドレナリン」という2つの物質が副腎から分泌されます。コルチゾールには、疲労感を減らす作用があるそうです。そしてアドレナリンは体を活性化させます。炎症性サイトカインを抑制して、人間の体は、ストレスがあったほうが疲れを感じないようにできているのだそうです。ただ、ストレスが抑えるのは「疲労感」だけできちんと回復しない限り「体の疲れ」は溜まっていくのです。怖いなと思います。

通常、疲労感とストレスはバランスをとっていて疲労感が抑えられています。運動や労働の負荷が上がり、疲労感が増えたらストレスのほうも増えていきます。ストレスは使いすぎると消耗しストップします。そうなると、膨れ上がった疲労感がやってきて、溜まった体の疲れも。過労死を招くのです。


誰も助けてくれません。自分で自分の疲労にきちんと向き合わないといけません。疲労回復には、休息が必要です。休めば、自然に回復します。人体には、疲労回復因子、脱リン酸化酵素が備わっています。人間が休んでいる間に、疲労回復因子がせっせと働いてくれるので疲れが取れるのです。疲労回復因子は増やすことができます。それは、ハイキングやジョギングなどの軽い運動をすることです。

やってみて効果をみたいと思います。


それから、この本には病的疲労のことも書いてありました。休息しても回復しにくく長時間継続する疲労です。うつ病などが当てはまります。脳神経が勝手に疲労を感じている状態なので、疲労因子とは関係無いそうです。精神科での治療が必要です。病気なので、早期発見早期治療が大切だと思いました。


とにかく、疲労からのメッセージを受け取り、休息しつつやっていきたいものだと思いました。